サイト売買は儲かる?上場企業にメディア売却を成功させたサイトM&A経験者にインタビュー!

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ユニークキャリア株式会社代表 | 岸田さんの自己紹介

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ー初めに、岸田さんの自己紹介からお願いいたします。

 

ユニークキャリア株式会社代表の岸田です。

「未来を創るメディアを作る」というミッションの下、今までWEBメディアの運営を行ってきました。

具体的な実績としては、創業当初は仮想通貨のメディアの売却、そして就活メディアや金融系メディア等の売却。あとは10万フォロワー様に集まって頂いた暮らし系のインスタのアカウントの売却経験もあります。

これまで、「価値あるコンテンツを提供し、ユーザーの未来を創る」ということを主にポリシーとしてきておりました。今年2022年に入ってからは、特に企業としてのエンティティを作っていくことにも注力しています。(例:一般社団法人 日本人材紹介事業協会 に加盟,有料職業紹介免許取得(13-ユ-314534)

ちなみに昨今のSEOのメディアにおいても、ハックとして短期的に売上を上げることは出来てしまいます。例えば強い中古ドメインやサブディレクトリを借りたり等。手法としてはそれでも結果に結びつくことはありますし、当人の目的にもよると思うので否定しません。Googleは歪な土俵なので、良いコンテンツを提供する手段として弊社もそこは割り切って選ぶこともありますし。

ただ、長続きしないとは思っているので、我々としては長期的に「キャリア」領域にBETする意思決定をしました。

何より我々自身、キャリアに関心があるし、弊社メンバーも特殊でユニークな経歴を持っています。取締役の中川も京大を卒業して、今は鳥取でリモートワークで取締役をしていたり。

そしてメディアの力は偉大です。情報さえを知ることで、人それぞれ自分が成し遂げたい、なりたい像を少しでも近づけるようになると信じています。

例えば、苦しみながら働かなくても、田舎でゆっくり働いたり、都会でハイクラスで働いたりなど。自分の理想のキャリアを実現するためには、とにかく質の高い情報に触れる機会が必要です。

我々はその情報発信の役割を担うために、出版社等と提携しながら時代に応じた形で手段と本質を追求しています。今後も未来を創る情報発信に尽力します。

大学在学中に個人で立ち上げた仮想通貨メディアを売却

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Q.一番最初にサイト売買をした際は、どのような経緯でサイト売買をされましたか?

 

A.最初は仮想通貨のメディアを売却しました。売却経緯としては、2018年のコインチェック事件から仮想通貨が下火になってしまったことがきっかけでした。

 

その時にたまたま繋がった競合企業からサイトを買収できるという話があり、その流れで売却することになりました。

 

Q.それはサイト売買の方法として、あまり一般的ではないパターンですね。売却先の企業さんとは普段から関わりがあって、売却するためにコンタクトした訳ではないですか?

 

A.そうですね、普段から関わりがあったわけではなく、TwitterにDMをもらって、情報交換ができたらいいなという気持ちもあって、お話をしてみました。ほんとうは競合なので最初は嫌(笑)でしたけど、まあ業界も下火でしたので。

 

Q.通常は営業利益の12〜24ヶ月分がサイト売買の相場と言われていますが、営業利益の何ヶ月分くらいで各メディアを売却されましたか?お話しできる範囲でお聞かせください。

 

A.おっしゃる通りで、大体1年分から、最近では2年分でも結構長いんじゃないかという相場感ですね。

 

仮想通貨のメディアは、より見やすいサイト運営をすることを大事にしており、当時は尖っていてアフィリエイト広告に少し嫌悪感があり、アフィリエイトリンクを貼る行為に抵抗がありました。ですのでトラフィックボリュームはありましたが売上は小さく、50〜100万円/月ぐらいの売上でした。

その12~24ヶ月分くらいなので、ざっくりと1,000万円前後ぐらいですね。成功要因として「ユーザーにとって最高の価値を追求する姿勢」をインターンで学び、関西の後輩にも協力してもらえたことが大きかったです。

当時、手伝ってくれたメンバーには今も感謝しています。運がよかったですね。

 

上場企業にメディア売却を成功させた後の振り返り

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A.ちなみに、就活メディアと金融メディアの方はどれくらいの金額で売却されましたか?

Q.具体的には言えないのですが、両方ともざっくり数千万円規模という感じですね。

正直、結果論でいうと両サイトとも、あと1.5~3倍はバリエーションついても買い手は回収できたと思います。ただ、私としては「20代前半で実積つけておくとレバレッジが効く」と考え、売却スピードを重視した意思決定をしました。

これも大体営業利益の12ヶ月〜24ヶ月分くらいの相場と同じくらいですね。

A.なぜ売却できたのですか?

実はインバウンドで問い合わせがあったんですね。いいものを短期的に作り切って、売却するというスタイルでやっていたので、たまたま見つけてくれたのかもしれません。北風と太陽における太陽スタイルですかね。

売却額は先程お伝えしたとおりもう少し上がったかとは思ってます。というのも本来ならば2〜3社に提案をして、オークション形式などで売却する選択肢が一般的です。それよりもスピード感を重視して売却の意思決定を取りましたね。1つ1つご縁かなと思い。振り返ると甘かったですね。

そういったこともあって、相場より安いくらいの金額でスピード売却となりました。

 

Q.売却方法にはサイト売買プラットフォーム上の個人間で行う「直接取引」とM&A業者を間に入れて行う「仲介取引」がありますが、岸田さんの場合はそれぞれどちらの方法で行いましたか?

 

A.どちらともですね。

仮想通貨と、就活メディアの方は問い合わせがあったので、その流れで売却したという感じで、金融系メディアはM&Aの仲介業者さんに入ってもらって、希望通りに売却したという流れでした。

 

Q.どちらも経験されたということですが、どちらの方がより高値で売却できましたか?

 

A.どちらも同じくらい(相場くらいという意味で)ですかね。仲介の方は信頼できる老舗サイト仲介の代表だったので、少し高く売れたかなという感覚です。仲介もプラットフォームにしても、信頼できる人や組織がサービス提供しているか見極める力が重要かもしれませんね。ビジネスでは当たり前のことですが、いざ大金が動くとなると冷静な意思決定は難しいのかもしれません。

 

Q.何かもっとこうしておけばよかったという点で言うと、先ほどおっしゃっていた、複数の買い手を比較検討するということや、それ以外だと何かありますか?

 

A.価値をもっと伝えれば良かったというのはありますね。

少数精鋭でしっかりとコンテンツにはこだわって作っていたので、手前味噌ながら、あまり類を見ないメディアだったかと思います。

そのことを、もっと本気で伝えていければ良かったですね。自分たちは当たり前だと思っていたことが、いざ「やり切る」となるとかなりエネルギーが必要だったようです。

ですので、相場感の話だけに捉われるのではなく、「なかなかこういったサイトは作ることができない、価値がある。なぜなら〜」ということをアピールしていくのが重要だったかもしれません。

サイト買収はサイト売却よりも打率が悪かった?

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Q.ここまではサイト売却のお話を伺ってきましたが、今度はサイト買収の経験についてもお伺いできればと思います。岸田さんは今までどういったサイトをどれくらい買収されていらっしゃいますか?

 

A.小さいものも合わせるとパッと思いつかないくらいあるんですが…10個くらいあるんじゃないですかね。

少し大きめだと、200万円ぐらいの教育系ブログや、インターンの求人マッチングサイト「コネクトインターン」を買収しましたね。

 

Q.あれは御社で始めたサービスではなく、買収して始めたものだったのですね。買収に関しては、直接取引と、仲介業者を挟んだ取引と、どちらでやられてましたか?

 

A.買収に関しては100%プラットフォームを利用していましたね。

 

Q.相場については、こちらに関しても営業利益の12ヶ月〜24ヶ月くらいでしたか?

 

A.そうですね、大体そのぐらいでした。

 

Q.買収したメディアがうまくいくこと、失敗してしまうこともあると思いますが、大体その割合はどのくらいでしたか?

 

A.ぶっちゃけクローズしてしまったものもあるので、なかなか打率は悪かったかもしれないです(笑)

本音を言えば、「自分で0からコンテンツ作った方がいいのかも」とさえ思いました。

やっぱり売り抜けたい層の方が多いのかなぁと残念に感じてしまいました。勿論そうではない方もいるかと思いますが、それを見抜けずに私自身も決算の都合などで焦ってしまったのが良くなかったですね。

やっぱり買い手売り手両方とも経験してみて「焦ると微妙な結果を生む」のかなと学習しました。

 

Q.そうだったんですね。結論としては、サイトを0から作って売却した方が個人的には合っているということですか?

 

A.そうですね、私としては0から頑張ってみるのがいいんじゃないかと思います。

いざサイトを購入するとなると、志がまったく一緒というのは、やっぱり難しいと思うんですよね。人それぞれアイデンティティや思想が異なるので。

そうなった時に、0から自分にしか発信できないコンテンツを作ったり、他社にできないことに取り組んだりして、初めて価値が生まれると思っています。最終的には、具体的なオペレーションにそこまで踏み込めない会社さんだったりに売却していくのが良いのかなと思います。PMI難しくなりすぎない程度のほどよい具体度というのポイントの1つです。

買い手側としても短期的に利益を上げるためのオペレーション実施はできると思うんですが、中長期的に長く愛されるメディアを作ろうとなると、買い手側も本気でPMI取り組める人いないと難しいのではないかとも思いますね。

 

サイト売買で儲かる秘訣!競合に勝つコンテンツの作り方

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Q.ご自身で0からサイトを運営して伸ばして、売却することのメリットのお話はお伺いしましたが、逆に売り手・作り手側のデメリットは何かありますか?

 

A.売れるようなサイトを作る難易度が年々高くなってきているので、失敗するリスクは正直高いかもです。何事に対しても失敗の確率は一定あると思いますが、SEOにおいては明確にダウントレンドではあるので。

もちろん、やり方によっては全然戦える市場ではあると思います。

ヒントしては、「SEOメディアである必要がある領域」で、ニッチに作ったり、テキストだからの良さを出せるコンテンツを作ると良いですね。一方で、リスクまっしぐらなのは、微妙なコンテンツを予算をかけて量産するパターン。これは大きくコケる可能性は高いです。

10年早く生まれていれば結果は10倍くらい出ててイージーでしたが、今は腰据えて取り組んでも勝てるかどうか、という世界ですね。

 

Q.多くの人の場合、岸田さんが得意とされている「サイトを0から立ち上げて伸ばす」という方が難しく感じると思うんですが、一方で岸田さんの場合はそれを何度も成功させることができていらっしゃいますよね。それができている要因はどんなところにありますか?

 

A.要因としては、大前提「しっかりとしたコンテンツを作る」という思いや、熱量、こだわりが土台としてあって、その時々でのブルーオーシャンを見つけているというのが大きいですね。

 

例えば、仮想通貨のメディアはレッドオーシャン化していたものの、ギリギリ滑り込みセーフだったという感じですね。

 

就活メディアについては、OB訪問、逆オファー型のサービスが結構出始めてきた段階でした。就活の現場では使われ始めているけど、コンテンツとしてはまだないもの(=検索しても出てこない知識)。価値を新しく生むということにフォーカスして作りきったので、それが功を奏したのではないかと思います。

金融メディアに関してはかなりニッチにメディアを作っていました。金融領域の中でもロングテールで確実にニーズがあるところから、深く掘り下げてコンテンツを作っていくことを意識していました。

コンセプトについても、これも綺麗事かもしれませんが、ただのアフィだけ目的というだけでなく、ワクワクするようなコンテンツ作りを心がけていました。

投資をやってみたいという人に対して、分かりやすくワクワクするような、面白そうだなと思ってもらえるようなサイトにすることを意識していましたね。

 

今後のサイト買収プランやM&A経験者からのアドバイス

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Q.サイトM&Aにおけるサイト買収でなかなかうまく行かないというご経験もあったかと思いますが、今後はどのようにされていきたいですか?

 

A.同じような領域のサイト(弊社の場合はキャリア領域)だったらいいのではないかなと思います。

 

ニッチなキーワードが取れているサイトであるとものすごく良いですね。

深いニーズに対して答えられているような記事が100indexくらいされてあるサイトだといい感じだと思います。

一方で、売上利益はあっても「おすすめ」的なよくあるキーワードでたまたま取れているサイトは、後から参入が来て、すぐに上位を奪還されてしまうので、ちょっと微妙ですね。

 

Q.買ったサイトはどのように活用されますか?

 

A.買ってから被リンクのように使ったりしてもいいかなと思いますね。

ニッチなニーズに答えられているようなサイトであれば、そのまま運営していってもいいですし、そうでないものであれば元あるサイトに統合する形でもいいですね。

 

Q.サイト売買のM&Aに関して何かアドバイスなどはありますか?

 

A.買い手側としてのポイントは焦らずに、売り手側としては買い手側の会社の決算月を見たりして、それに合わせて売却できたりするといいかもしれないですね。

 

買い手側のアドバイスとしては、「なかなかあまりいい案件がない」というのが本音の前提で、頑張って探し続けることですかね。また、単なる営業利益だけを見て判断しないのが大事ですね。

 

現状利益が上がっていても、SEOの性質上短期的なトレンドの可能性もある。

目先の利益が上がっていても、長期的に儲かるサイトは少ないので、やはりコンテンツの良さが肝心です。

 

逆に、良質なコンテンツを作っている人ほど、お金儲けをあまり意識していなくて、安価で買えることも少なくないですね。

その意味でいくと売り手目線としては、もっとガツガツ自分の売上利益以外の価値をちゃんと伝えにいくというのが大事な気はしています。

売り手側としては結構あるあるになっちゃうと思うんですが、すぐに売りたいという気持ちがあるので焦ってしまうんですよね。

 

短期的な売上が下がってしまっている中で売りたいとなったときに、少し弱腰になってしまったりすると思うんですが、結局コンテンツが良ければ、目先の利益があまり出ていなかったとしても、長期的に考えるとまたしっかり復活していけるので、本質的なメディアの価値をアピールしていくのが大事だと思います。

買い手にとってどんなシナジーがあるか、どう使っていけるかという観点でも訴求できるといいかもしれないですね。

売り手側としても売り逃げが一番良くないので、両者で正しい理解を持って話ができるといいですね。

 

Q.普段は色々なプラットフォームなどを見ていいサイトを探したりされてるんですか?

 

A.そうですね、色々巡回しながらいいサイトがないか探したりはしています。

関連記事:サイト売買おすすめ22社を徹底比較!サイトM&Aサービスを紹介【2022年最新】

サイト売買よりインスタアカウント売買が楽に儲かる?

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Q.インスタのアカウント売買についても詳しくお聞かせください。

 

A.たまたまDMで声がかかって売却に繋がったという背景がありますね。

暮らしのお役立ち情報配信アカウントを運営していて、他の方の良質コンテンツをリポストする形で掲載して、元アカウントのストーリーなどで紹介してもらうように運営していました。

10万フォロワーぐらい集まってくれてましたね。

しかし、マネタイズしようとしたがインスタだと実は結構難しくて、特にキュレーション型のメディアだと属人性が低く、広告系のコンバージョンが難しいんですね。

無料のアプリダウンロードなどは結構できるんですが、それ以外のプロモーションがなかなか当てるのが難しく…

買収してくれた方は他にもアカウントを運営していて、利益回収ができる自信があるようでしたのでぜひ、という話になりました。

売却金額は、フォロワー数×100円くらいで交渉していたので、1,000万円ぐらいですね。実は、私はほとんど見てなくて、担当者1名が1年ちょっとくらい運用していたものになります。この担当も学生インターンで頑張ってくれました。感謝です。

これだけ見ると楽そうに見えますが、参入タイミングも良かったので、市況環境が良かったというのもあります。今同じことやって結果出るかと言われると微妙です。結局、大半は運なので試行回数増やすと良いかもしれません。

最後に、ライターやインターン候補生などへメッセージ

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Q.現在、どれくらいのメディアを運用されていますか?

A.細かいものも考慮すると十数ほどメディア運用しています。

①コレベスト!(https://daily-tohoku.news/best
青森の新聞社「デーリー東北新聞社様」との協業メディア。サブスクや家電、アプリなど「トレンド」を発信。

②ユニークキャリア(https://1dau.co.jp/category/c/
「キャリア形成の為に利用したいメディアno.1」に選ばれた自社メディア。

③キャリアの実(https://www.j-n.co.jp/career):
大手出版社「実業之日本社様」との協業メディア。転職やスキル系を中心に発信。

④フリーランスの攻略本(https://shincru.jp):
自社で運営するメディア。フリーランスエージェントの情報や、インタビュー記事を掲載。

体制としては、内製ライターと外注ライターがいて、

内製ライターには、結構ガッツリ1万〜3万文字ぐらい書いてもらっています。

外注ライターは、応募100名のうち2〜3名ぐらいしか取らない精鋭で運営していて、WantedlyTwitterCrowd Works などで募集を募っています。

ライターとしての実績やスキルも大事ですけど、それよりも自分達の思想に共感してくれる人やキャリアの業界に興味がある人、価値観を大事にして採用しています。

Q.また、最後にライターやインターン候補の方、キャリア関係者などに向けてメッセージがあればお願いします。

22年秋にライターの育成プラットフォーム「ユニークライティング」をローンチしたので、ライター志望や初中級ライターさん、ブロガーさんにはお役に立てるサービスかと思っているのでぜひ!

また、「コネクトインターン」という学生の求人サイトというのも運営していて、いい人がいたら紹介できるかもしれないので、もし機会があればぜひご利用ください!

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