サイト売却後の税金対策方法とは【税理士監修記事】

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もしサイト売却に成功した際に、気になってくるのがサイト売却に対する税金面ですよね。サイト売却の税金対策は、事前に知っているか知らないかで、後に支払う税金の額が大きく異なるので注意が必要です。そこで今回は、税理士監修のもと、サイト売却の税金対策について解説していきます。

結論から言うと、サイト売却の税金対策を理解するためのポイントは全部で3つあります。

  1. 2通りあるサイト売却のやり方
  2. 事業譲渡でサイト売却する場合
  3. 株式譲渡でサイト売却する場合

監修先の税理士について:L&Bヨシダ税理士法人 吉田雅一税理士(登録番号:132730)

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1.2通りあるサイト売却のやり方

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まず、サイト売却の税金対策を知るための前提として、サイト売却には2通りのやり方があるということを覚えておいてください。

1つめは、事業譲渡でサイト売却をする方法です。

現在、個人事業主としてサイト運営をされている方、あるいはまだ開業届けを出していないサイト運営者の方、法人を運営していて事業譲渡を検討している方が対象となる、サイト売却のやり方です。

事業譲渡とは、個人や法人が行っている一つの事業全体、もしくは事業の一部を譲受側に引き継ぐ方法のことです。

そして、売主が行っているサイト運営という1つの事業活動に対して、買主は譲渡金という対価を支払うことによって、基本的に事業譲渡が成立します。

事業譲渡の税率面でのメリットは、サイト譲渡金の金額が少なければ、最低5%の所得税率で済むという点です。

しかし、デメリットとしては、サイト譲渡金の金額が高ければ、最高45%の所得税率が掛かってしまうことが挙げられます。

2つめに、株式譲渡でサイト売却をする方法があります。

現在、株式会社のオーナーでサイト運営をしている方が対象となる、サイト売却のやり方です。

株式譲渡とは、売却会社の株主が持つ株式を買収会社に譲渡することによって、会社を売買する方法です。

そして、売主がサイト運営を行い所有している会社に対して、買主は譲渡金という対価を支払うことによって、一般的に株式譲渡が成立します。

株式譲渡の税率面でのメリットは、どれだけサイト譲渡金の金額が高くても、一律20%の税率しか掛からない点です。

一方で、デメリットとしては、たとえ売主が株式譲渡を希望しても、法人ごと売却できる体制が整っていない限り、実現可能性が低いことが挙げられます。

ここで、事業譲渡と株式譲渡でサイト売却をした場合の税率について、比較したものをまとめます。

 事業譲渡(個人)事業譲渡(法人)株式譲渡
税金所得税·住民税法人税など所得税·住民税
税率所得税5%~45%、住民税

 

※住民税はおよそ10%(各自治体によって異なる)

30~35%程度所得税15%、住民税5%
課税方式総合課税総合課税分離課税

ここからは、事業譲渡でサイト売却した場合と株式譲渡でサイト売却した際の税金面について、それぞれより詳しく説明していきたいと思います。

2.事業譲渡でサイト売却する場合

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まず、事業譲渡でサイト売却する場合の税金面について、お話していきます。

前述したように、個人事業主が事業譲渡の方法でサイト売却をする際に掛かる所得税率は、最低で5%、最高で45%となります。

課税される所得金額所得税率控除額
195万円以下5%0
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1800万円以下33%1,536,000円
1800万円を超え 4000万円以下40%2,796,000円
4000万円超45%4,796,000円

さらに、個人の方はこれらの所得税に加えて、住民税が掛かってきます。

住民税は自治体によって異なりますが、およそ10%程度かかります。

ちなみに特別控除額として50万円は控除されることになります。

なお、単発の売却ではなく売買目的としてサイトを作成する場合には事業所得とされることが一般的です。

個人事業主に対する消費税に関しては、新規開業後の2年間は課税されません。

例外として、売主側が課税事業者の場合は事業譲渡の際に消費税が課税されます。

一方で、法人が事業譲渡の方法でサイト売却をする際に掛かる税率は、法人税30~35%程度となります。

法人に対する消費税の課税時期は、年間売上が1000万円を超えてから2年後となります。

ここで、個人と法人が事業譲渡した場合の税率について、具体例を出します。

個人が事業譲渡で330万円でサイト売却したとします。

サイト売却に対する税率の算出方法としては、

サイト売却金−控除額=所得税率となります。

この計算式に実際の数字を当てはめてみると、サイト売却金330万円−控除額9万7500円=320万2500円と、所得金額が330万円以下になるので、所得税率が10%となります。

つまり、この場合の所得税は課税所得およそ320万×10%となり、約32万円の税金を支払う必要があります。

しかし、注意点として、事業譲渡は総合課税となるので、サイトの譲渡金以外にも別の収入があった場合は、課税所得に加算されてしまいます。

例えばこの場合、330万円のサイト譲渡金以外にも、10万円以上を超える雑所得などがあると、課税所得が330万円を超えてしまう可能性がありますよね。

ですので、サイト譲渡金以外の収入も含めた総売上を把握した上で、経費の計算もしっかりと行い、正確な課税所得を導き出すことがとても大切です。

一方で、法人が事業譲渡で3000万円でサイト売却した例をご紹介します。

法人が事業譲渡をした際の税率としては、法人税が30~35%程度掛かります。

また、個人と同様に法人の事業譲渡も総合課税となるので、サイト譲渡金以外の所得がその年にあれば、そちらも加算された上で最終的な法人税率が決定します。

例えば、3300万円のサイト譲渡金に対して、法人税が30%であれば税金が990万円、法人税が35%であれば1155万円という計算が成り立ちます。

まとめると、事業譲渡によるサイト売却は、個人と法人によって大きく税制が変わるのに加えて、両者とも総合課税となるのでその年の総所得をしっかりと事前に把握することは、税金対策をする上でとても重要なことです。

3.株式譲渡でサイト売却する場合

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最後に、株式譲渡でサイト売却する場合の税金面について、お話していきます。

株式譲渡をする際に掛かる税率としては、所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%となります。

ここでは具体的に、株式譲渡の際に掛かる譲渡所得税の計算方法をご紹介します。

まず、株式譲渡によるサイト売却で得られる譲渡所得は、一般的にこれらの式によって成り立ちます。

①総収入金額(譲渡価額)-②必要経費(取得費)=③譲渡所得

それぞれの項目について、細かく説明します。

①総収入金額(譲渡価額)

株式の譲渡対価として得られる金額、いわゆるサイト譲渡金にあたります。売主と買主間で交渉の末、合意して決まります。

②必要経費(取得費)

必要経費として認められるのは、売却する株式を取得した際にかかった「取得費」となります。

③譲渡所得

①の総収入金額から②の必要経費を引いた残りの金額が譲渡所得となります。

株式譲渡に掛かる税金は、この譲渡所得から求めます。

譲渡所得にかかる税金は20.315%(所得税および復興特別所得税15.315% + 住民税5%)となり、こちらの式で納税する金額が求められます。

③譲渡所得 x 20.315% = 譲渡所得税

例えば、株式譲渡の方法で1億円でサイト売却した場合、このような式が考えられます。

1億円(総収入金額)−500万円(会社出資金) =9,500万円(譲渡所得)

9,500万円(譲渡所得)×20.315%=19,299,250円(譲渡所得税)

以上が、譲渡所得税の計算方法となります。

株式譲渡の場合は、法人で事業譲渡をするよりも、税率がとても安くなり、一律約20%です。

つまり、サイトの売却額があまりにも高額となるような場合は、事業譲渡ではなく株式譲渡での売却を早くから検討することをおすすめします。

しかし注意点として、株式譲渡の場合は事業譲渡とは違い、単体の事業だけが売却対象になるのではなく、会社が所有している様々な資産が譲渡対象となります。

そのため、法人として引き継ぎやすい条件が整っていない場合、サイトの買主の中には、会社の買収には興味を示さず、事業譲渡によるサイト買収を希望する方もいます。

まとめると、サイト譲渡金があまりにも高額となるような場合で、かつ法人の引継ぎ体制が整っているようであれば、税金対策として株式譲渡によるサイト売却を検討しましょう。

以上、いかがでしたか?

今回は、サイト売却後の税金対策についてお話しました。

  1. 2通りあるサイト売却のやり方
  2. 事業譲渡でサイト売却する場合
  3. 株式譲渡でサイト売却する場合

今後、サイト売買を検討している方は、ぜひ参考にしてもらえればと思います。