THE ROOTS

INTERVIEW

過去の事実は変えられないがその評価は変えられる

黒嵜 隆

弁護士法人 フロンティア法律事務所黒嵜 隆

略歴

明治大学政治経済学部卒業、弁護士になるため司法試験を目指す。1995年に司法試験に合格し、都内法律事務所勤務後、2000年に独立してフロンティア法律事務所を設立。2016年に事務所を法人化し、現在弁護士7名所属する弁護士法人フロンティア法律事務所の代表弁護士として、永田町と二子玉川の二か所で法律事務所を運営している。
また、六本木で「ふるめん」というラーメン居酒屋を経営している。

現在の仕事についた経緯は?

私は、大学3年生、22歳のときにオートバイ事故で脊髄を損傷し、下肢麻痺となり車いすで生活しています。事故前は、TV番組制作やアクションのアルバイト、オートバイ旅行などで忙しくて大学に行く時間があまりないという本末転倒のアホ学生でした。しかし、ある日突然、一生車いすの生活を宣告されて、どうやって生きていけばいいのか、車いすで何ができるのか、まったく先が見えなくなりました。苦しい時でしたが、リハビリを進めて少しずつ現実を目の当たりにして、なにか資格をとろうと考えるようになり、半ばやけになって、どうせなら一番難しい司法試験を目指すという決心をしました。そこで、1年の入院生活を終えてから大学に戻って法律の勉強を始めたのですが、さすがアホ学生、まったく司法試験に歯が立たずに何年も落ち続けてやっと10回目の受験で合格することができました。
その後は、東京の法律事務所で2年勤務したのち、独立して事務所を設立し今に至ります。

仕事へのこだわり

僕は、オートバイ事故を起こしたあと、周りのたくさんの人からの励ましや援助があったからこそ立ち直ることができました。精神的にも物理的にも経済的にも、とても僕一人では、車いすで一人暮らしを始めることも司法試験の受験を継続することも出来なかったと思います。そんな中で、とにかく司法試験に合格して弁護士になって僕自身が人の役に立てるような仕事をしたいという思いが強くなっていきました。
弁護士になってからはずっとその想いを持ち続けています。僕の事務所では、幅広く個人的な法律問題や企業の経営上の法律問題のご相談・ご依頼をお受けしていますが、トラブルや困難に直面した個人の方や企業がその問題を解決してポジティブに前を向いて歩きだして頂けるよう、弁護士として最大の努力をすることを心掛けています。
また、なにか心配ごとがあるときに問題が大きくなる前に気軽に相談できる事務所として、クライアント様との継続的な信頼関係の構築を目指しています。
まだまた発展途上ではありますが、弁護士としてのスキルを磨き、人間力を高めてトラブルを解決するプロフェッショナルであり続けたいと考えています。

若者へのメッセージ

あまり偉そうなことは言えませんが、私の経験からは、ある日、それまでの常識は常識でなくなります。普通に立てる・歩けるという常識が常識でなくなったときに、私のそれまでの常識が吹っ飛びました。アホ学生が司法試験を目指したこと、障害者の友人・知人がたくさんできたこと、弁護士になってから好きなプルースバーを出店したこと、ラーメン居酒屋を経営していることなど、いま考えれば事故によって常識のリミッターを振り切ったことで、自分の世界が広がったと思います。
ということで、若者(だけでなくすべての人にも)にはあまり常識にとらわれずにやりたいことを貫いて欲しいと思います。そして、その時々で失敗したとして、失敗した事実は変えられないけどその評価は今の自分で変えられます。
僕も、事故を起こした事実、車いす生活になった事実は変えられず、そのときはただただ辛い、自分だけ運が悪い、お先真っ暗と考えていましたが、その後35年以上経った今、自分の常識のリミッターを外してくれたことは決して悪い出来事ではなかったと思えるのです。

※ 本サイトに掲載している情報は取材時点のものです。