THE ROOTS

INTERVIEW

悠々として急げ・意思あるところに道あり

河藤一博

株式会社ハマネツ河藤一博

略歴

1961生まれ。1984年関西大学文学部卒業後、タバイエスペック(現エスペック)株式会社入社。2006年株式会社ハマネツ入社、2007年取締役、2009年常務取締役、2014年代表取締役社長に就任。

現在の仕事についた経緯は?

小中学校で転校を繰り返し、学校生活や勉強で苦労することも多くありました。
その時に非常にお世話になった担任の先生への尊敬と憧れがあり、教員を目指していました。幸運にも大阪府の教員採用試験に合格し、中学校の国語教員になる予定でしたが、教育実習やアルバイトの学習塾講師を経験する中で、人を育て活かす仕事をするなら、教員より民間企業の方が選択肢が多いと考えました。教員の内定を辞退して、若手にも活躍の場が多そうなベンチャー企業中心に就職候補を探し、大阪の2部上場直後のエスペック株式会社に入社しました。

入社3年目に社長秘書に任命されましたが、会社初の男性秘書ということで、一般的な秘書業務以外に、社長が加入している経済団体の立ち上げ業務や、社長名で寄稿する文書の作成、役員会の事務局などを任され、経営者の近くで仕事をするという貴重な経験を積むことができました。6年近く秘書業務を担当した後、バブル崩壊で赤字に陥った時に社員を150人削減するリストラ計画とその後の中期経営計画を策定するために設置された経営企画室に移りました。経営トップや労働組合などと密に連携をとる業務に忙殺されましたが、この時に自分が経営者ならどうするかを考えることを強く意識するようになりました。

その後、総務部長、営業部長とキャリアを重ねていく中で、自分でもっと経営全般に密接に関わっていきたい、自分の思う経営を追求してみたい、そのためには、経営者になるしかないと考え始めました。安定した環境の中であと数年キャリアを重ねて運が良ければ役員にという選択肢もあったとは思いますが、自分の思う道を進むために、自分で新しい道を切り拓いていく必要があると感じていました。気持ちばかりが先行し、起業するにはアイデアも資金もないと悶々とする中で、モノは試しにと考え、後継者を探している企業などを紹介する会社へ人材登録してみることにしました。そこで紹介されたのが、同族経営から脱皮し、新たな経営基盤を確立しようと後継者候補を探していたハマネツでした。

仕事へのこだわり

自分にとって働くことの意味は、自己表現であり自己実現の手段のひとつです。
学生時代は自己表現の場としてバンド活動に熱中しましたが、音楽は才能がすべてといえる世界で、自分の技量、センスではなかなか自分が思い描く音を作ることができませんでした。しかし、音楽的才能が凡人以下の自分でも、バンドメンバーとの波長がうまく合う演奏ができると、その波長が増幅されて心地良い音を共に楽しむ空間が生まれる瞬間を何度か経験しました。また、教育の現場では成績優秀な生徒や、運動能力の高い生徒でなくても、思わぬ発想や、特定の分野でキラリと光るものがあるケースも多々あり、こうしたあまり人が気付かなかったり、表に出てこない能力を見出して、一定の方向性を持たせると期待を上回る成果が出たりすることに面白みを感じていました。

地方都市の中小企業であるハマネツも、大企業や最先端企業に比べると凡人の集合体であり素人集団と言えるかもしれません。しかし、突出した技術や才能がない集合体であっても、自分たちの生み出すハーモニーやリズムが独自の世界、オンリーワンの世界を生み出せると信じています。快適で安全な環境を創造するという私たちの企業理念に共感して集まった人たちが、お客さまやお取引先、社会などに対して新たな価値を提供し、ハマネツらしさを表現していく環境づくり、場づくりが今の自分の使命であり、自己実現につながることだと考えています。

若者へのメッセージ

20代の頃は「学ぶより真似ぶ」の精神で、経営トップの考え方や行動を理解するために、同じ本を読んだり、同じような行動を真似したりしました。

当然ですが、実力も経験も段違いの経営トップと自分とのギャップが大きすぎて、どうすれば少しでも近づけるのか暗中模索の日々でしたが、その頃の熱量と努力は無駄にはなっていないと感じています。

幸運にも私は身近に目標にする人がいましたが、若い人たちの中には、働くことに夢や目標を見出せないと思っている人や、自分自身の存在意義に疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、これからの世の中は今まで以上に多様な価値観が認められる社会になっていくはずです。理想と現実のギャップに悩み、戸惑うばかりかもしれませんが、自分の価値を再評価し、自分なりのビジョンを見据えていけば、失敗の連続であってもひとつずつギャップを埋めていけば、必ず自分なりの世界が見えてくるはずです。

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