THE ROOTS

INTERVIEW

人生一回。

石森隆太郎

東京造形美術株式会社石森隆太郎

略歴

1986年渡米、ニューハンプシャー州の全寮制高校であるブルースターアカデミー入校、1990年にニューヨーク州のロングアイランド大学・アーツマネーメント学部入学。1993年に帰国後、渋谷区にあった制作会社にて主にNHKやフジテレビの音楽番組を担当後、フリーの演出家へ転身。キー局報道番組を数多く担当しながら同時に語学を活かしスティービワンダー、熊川哲也等のツアーマネージャーや読売ジャイアンツの外国人選手エージェント業務にも従事。その後仲間4人でプロダクション設立、「Kill Bill」や「ゲロッパ」等の映画製作に携わった後、東京造形美術へ入社。2015年より現職に就任。

現在の仕事についた経緯は?

理由は3つあります。「面白そうだから」が一つ、また父親が創業者であったのがもう一つです。また、前職が多忙かつ非常に不規則であったためか一時期心身のバランスが取れなくなり悩んだ時期がありました。それを機に人生は一回だと思い立ち、人生の窓をより大きく開きもっと違うことにチャレンジしても良いのではという結論に至ったのが3つ目です。入社当時、父親は既に第一線からは退いていましたが、当時の社長を始めとする先輩方に、年のいった平社員の私に精力的かつ愛情を持って指導いただいたご恩は決して忘れないと共に、そのお陰でこの仕事を愛するまで多くの時間は要さなかったのは大変幸運なことと今でも感じます。

仕事へのこだわり

僭越ではありますが、猪突猛進でありながらチームの調和も重んじる、また完璧主義肌ではないかとの自負があります。一旦お客様に案件をお任せいただいたら最後、何があってもご満足いただけ、「またこいつに任せてみようか」と思っていただけるよう誠心誠意努力するのは当たり前のことで、その一歩、二歩先を見据え更なるメリットを見出して差し上げることが出来、初めてプロの仕事だと言えるのではないでしょうか。
死ぬ気でやり遂げるスタイルは前職から変わっていない、また今後も変わってはいけないと思う反面、昨年過労が原因で心筋梗塞を患いました。長いこと戦線離脱をしたためお客様はもちろん、協力会社の皆さんや会社の仲間、家族・友人にも多大なる迷惑をかけてしまい、手術から1年以上経った今でも猛省をしています。猪突猛進であることを理由に基本中の基本である自己管理が出来ていなかった。「完璧主義」が聞いて呆れますよね。
為せば成る為さねば成らぬの精神は重要であり、仕事を敢行しゴールを達成する上で原則の一つであると考えます。しかしながら道半ばで力尽きるようでは元も子もありません。私の場合、理論的なプロセスの欠如が産んだ失敗だったと思っています。言い換えれば、きちんとした下準備が肝要であり、まずは心身を含む自分の能力や限界を正しく理解した上で取捨選択を行い、その上でロードマップを描き優先事項を見定めながら実行に移すといったプロセスを、今では心がけています。このスタイルが正しかったか否かを判断するまではもう少し時間を要しますが、考えを改めた副産物として自分に当てる時間が増え、結果家族のことを考える余裕が生まれそれが仕事をより精力的に行え、よりお客様への献身度が高まった動機になったことを鑑みると、大きく間違ってはいないのではないかと最近では感じています。

若者へのメッセージ

当たり前の話になってしまいますが、人生は一回しかありません。しかし若い時分は頭では理解していてもその意味合いまで思慮することはあまりないかと思います。無論、私自身もそうでした。
私は前記の通り大病を患ったにも関わらず、周りの方々の大きな力添えで幸運にも復帰を果たすことができましたが、若い皆さん全員がそんな経験をする必要はありません。何か新ことを始めるのに年齢はさして問題ではありませんが、若いということは「より多くの時間」という決してお金では買えない特権を持っています。これはより多くのことを具現化するチャンスを持っているということです。是非、誰も思いつかない「夢」を持ったら如何でしょうか。それができたら今度は「夢」を一つのゴールと考え、達成した暁には次の「夢」を描いて行ければ、きっと後悔のない生涯を送れると思います。但し、夢を実現させる近道はありません。そればかりか想像を絶する壁と向き合うことになることだってあるかもしれません。故に、夢は大きく持ちながらも計画性と実行力の両輪を装備し、それらを駆動させる動機を手に入れる必要が出てきます。
より高い報酬やステータス等が動機として頭を過ぎるかもしれませんがこれらは一定の水準を越えれば機能しなくなるという特性があります。しかも厄介なことにこれらは世界中で分かり易い成功の証として認められており、一旦追いかけ始めると他のことを犠牲にしてでも追求するといった高い中毒性も持ち合わせています。そうなったら最後、次々と未来の自分に負債を押し付けるようになるまで時間はかかりません。気付いた時には退路も絶たれ、自分は一体何のために頑張ってきたのか分からないという悲劇に直面する可能性もあります。
情報が益々溢れ、物事がどんどん細分化するにつれ生き方の選択肢も増えるばかりです。これ自体は決して悪いことではありませんが、目先に誘惑が増えるのも事実です。だからこそ自分の心に勇気と謙虚さを持って向きあい、いっぱい失敗を繰り返し、犠牲を払い、困難を乗り越え、そしてそれらを糧に「人生の成功者」になってください。自己犠牲や困難のない成功など存在しないと思っていますが、同時にそれらが大きな成功をもたらす鍵だとも確信しています。

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