THE ROOTS

INTERVIEW

一つ一つ、丁寧に

田辺桂

Ra design lab田辺桂

略歴

千葉県出身。短大国文科卒。以降印刷畑周辺を歩む。1989年結婚を機に版下製作会社へ就職。1991年出産のため在宅勤務へ。1996年Macを支給されデザインの道に入る。2000年個人事業主として独立。2013年Ra design lab設立。

現在の仕事についた経緯は?

子育てのために在宅勤務をしていた版下製作会社から「好きにいじってみて」とMacを支給されたことが始まりでした。当時、家庭文庫を開いて定期的に手書きの新聞を作っていたので、使い方もわからぬままIllustratorでそれを作ってみようと。Macが我が家に来てから新聞配布まで一週間のできごとでした。今から考えるとすごいことだなと思います。まだ一般家庭にPCがない時代でMacを持っているというだけで「こんなことできる?」とお声がかかり、いつのまにかデザイナーになっていました。デザイン学校もデザイン事務所も無縁で、まさか自分がデザイナーになるとは夢にも思っておらず、意識し始めてからは毎日が勉強です。

仕事へのこだわり

私の仕事はご依頼くださるお客様の売上につながらないと意味がないので、どうしたらお客様の商品のファンを作れるか、ということに徹します。当たり前のことですが、お客様の商品や他の同じような商品の状況を理解しないと私のお客様の良さを打ち出した広告は作成できないので、そこを理解するところから始めます。
特に意識していることは、まず広い視点から商品を捉えた後、まっすぐにシンプルに真のものを考え抜くこと。今まで一般の主婦として生きてきた勘も全力で駆使し、生身の感覚を大切に色々と削ぎ落として、その商品が最も必要とされる場面を探ります。その勘や感覚を支えているのは人生の経験だったり、幼い頃から触れてきた絵本や本達です。
私は絵本や本が好きで26年間子ども達にお話を届けていますが、本物を見抜く力のある子ども達を惹きつける絵本は、どれも考え抜かれた絵と的確な言葉でできていて、最上級の素晴らしいものばかりです。今まで子ども達へ読んできた絵本のページ数を合わせるとざっと10万ページ以上となり、それらが私の頭の中に入っていて優れた見本として広告を作る上で手助けしてくれている感じがしています。

とはいえ、納得がいくアイデアが出るまでは苦しい時間が続くので、「お客様」と「お客様のお客様」がつながる点(アイデア)を見つけた時は本当に嬉しいです。
その結果がお客様のお仕事の発展につながり、お客様のお客様にも喜ばれ、みんなが幸せになる、その一助となれば幸いです。

若者へのメッセージ

やりたいことがあるなら、好奇心を持ってなんでもやってみる。その時には何のつながりもないと思えることも、後から振り返ると全て布石になっているはずです。
「子育ては永遠に続くような気がするけれど、子どもは必ず巣立つ日が来る。その時になって自分が何をしたら良いのかわからなくなるのでは勿体ない。大変な時期でも一日五分で良いから好きなことを続けなさい」
私の高校時代の恩師の言葉です。教わったのは一年間ですがとても影響を受けた先生で、高校卒業したての頃に言われました。この言葉は仕事にも当てはまるでしょう。どんなに忙しい時でも通勤時間、お風呂トイレ等でやりたいことを続けてみてください。一日五分も積み重ねたら膨大な時間になります。
そして、夢は諦めないこと。私は突然ウィーンに魅了され、海外に行ったこともないのに「ウィーンに支社を作る」と言い始めて三年目、突然夢が叶いました。52歳の時のことです。夢が叶って一番びっくりしたのは自分自身だったと思います。

夢は三年願い続けたら叶うそう。時には周りに迷惑をかけることがあるかもしれないけれど、お世話になったことは次の世代へ返していけば良いんです。安心してどんどんチャレンジしてください。

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