THE ROOTS

INTERVIEW

臥薪嘗胆

加藤進幸

合同会社東京物語工芸社加藤進幸

略歴

東京都出身、千葉県育ち。8bitマイコン少年世代。業務系SEとして2K問題に取り組む中で、「人は破滅を目の前にしてさえ、数字だけでは動かない。希望への衝動(つまり物語)が必要」との経験を得る。ゲームデザイナーとしてデジタルゲーム業界への転職以降、コンテンツサービスとしてユーザに物語を提供し続けるのはもちろん、開発現場でのチーム作り、世界観設計にも注力する「シナリオディレクター」として活動する。2018年に東京物語工芸社を設立。バンタンゲームアカデミー講師。書籍に『デジタルで描く!「刀剣+ポーズ」イラスト真剣講座』(設定監修)など。

現在の仕事についた経緯は?

元々は様々な企業でプログラマーをしているうち、偶然にデジタルゲーム業界へ。
その時点ではシナリオ制作の経験はほとんどなかったが、SEとして「有用だが無味乾燥なシステムを楽しく現場で使ってもらうこと」を続けていたエンジニアリングとコンセプトワークの経験が、結果としてゲームシナリオ職(そしてゲームデザイナー職)のニーズにマッチした。その後、文芸の専門家である作家(シナリオライター)の皆さんと共に案件に取り組む中で、クリエイティブの腕も磨いた。

仕事へのこだわり

基本的に仕事とは「辛いこと」。
理由は大きく2つあって、ひとつは「誰かの辛いことを肩代わりするからこそ、対価(つまりお金)を得ることができるから」。
自分の「好きなこと」と、相手の「辛いこと」がマッチすれば理想だが、大抵そうなはならない。あるいは、みんなで目に見えない雑務を肩代わりし合うからこそ、組織や社会が成り立っている。(例:ごみ収集のような公共事業や、消防のように危険がある職業など)
2つ目は、「より大きな対価(あるいは最低限の受注)を得るためには、他者に負けない結果を出す必要があるから」。
社会に競争が存在する以上、「自分のペースで仕事をする」だけで済ませるのは難しい。もちろん無理をして身体を壊したりするのは本末転倒だが、とにかくこれは事実。
とかくこの世は苦しく、世知辛い。
──だからこそ、物語の力で一人でも多くの人に余暇を楽しんで欲しいし、できれば「この仕事を楽しく誇りを持って取り組める物語」を現場に提供していきたい。

若者へのメッセージ

臥薪嘗胆。
失敗や敗北は誰にでもある。それ自体が無価値なものではない。
極端な話、神と呼ばれたイチロー選手の全盛期だって「打率4割=6割は打てなかった」と思えばいい。
大事なのは、敗北から立ち上がる勇気。
そして、状況を突破するための創意工夫を忘れないこと。
「あきらめない自分」に酔ってはいけない。
創意工夫なく「続けること」を続けても、「負け続ける」ことだけが起こるのだから。

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