THE ROOTS

INTERVIEW

三方よし

笠浪真

税理士法人テラス笠浪真

略歴

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。
税理士・行政書士・MBA/滋賀大学経済学部卒業、慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号。
大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。現在、総勢30名のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め300社を超える。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

現在の仕事についた経緯は?

学生時代、父の会社が倒産し、連帯保証人となっていたために自宅を差し押さえられるという苦境に立たされました。その少し前には阪神・淡路大震災を経験しており、その際、「会社は、震災や景気の影響で立ち行かなくなることもある。それなら何か手に職をつけよう」―そう思ったことが、今の道に進む第一歩でした。
まずは、どうすれば自宅差し押さえを回避できたのかを知りたいと思い、働きながら資格を取れる税理士を目指しました。最初は会計事務所で税理士の基礎業務を、その後は法律事務所でも実務経験を積み、30歳で税理士となりました。
その後、事業再生コンサルティングをメイン事業とする税理士法人、そして再度原点に戻るべく大手税理士法人に勤めましたが、複数の事務所で働いて学んだことは、「お客様が抱える問題は、税理士だけでは解決できない」ということです。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士…さまざまな専門家が必要になってきます。私は税理士と行政書士の資格しかありませんが、異なる業種の事務所での実務経験から、何を誰に相談すればよいのかを正しく判断できる。自分が窓口になれば、裁判以外はすべて解決できると確信し、「会計・税務・法律系アドバイザー」として、起業を決意しました。
開業後、経営方針として医療に舵を切ったのは、息子の交通事故がきっかけです。人の命を預かる医師という素晴らしい仕事に感銘を受け、医療をサポートしたという思いに駆られました。税理士という仕事の先に、人の命を助けるという医師の大義があることで、新たなやりがいを見出しました。これまで様々な経験をしてきましたが、それらが最後に1本の進むべき道になったと思っています。

仕事へのこだわり

座右の銘である「三方よし」を大事にしています。
「三方よし」は、近江商人の経営哲学ですが、売り手の都合だけで商いをする(自分によし)のではなく、買い手が心の底から満足し(相手によし)、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利の増進に貢献しなければならない(世間によし)、という考え方です。私は滋賀大学出身で、近江商人発祥の地ですから、在学中にその考えを叩き込まれました。
税理士は往々にして、お客様から「節税」を求められます。ですが、顧客満足度を高めることを重視するあまり、お客様の求めに応じるままに過度な節税や投資の提案をすることは、決して社会的に正しいことではありません。お客様に喜んでいただくことは大事ですし、それが自分たちの報酬にもつながるのはもちろん承知の上ですが、常に「世間によし」と言えるかどうかを念頭に置いています。社会に対して、決して後ろめたいことはしないこと。それは自分たちの身を守る術でもあります。
税理士法人テラスは主に開業医の先生がたを支援しています。私たちにとって「世間によし」は、医療業界を支えていくことです。会計・税務を起点としながら、開業医の先生方のライフステージ全般をサポートすることで、社会貢献となり、またそれが自分のやりがいにもつながり、「自分によし」として返ってきます。そしてまたそれをお客様に還元し、「相手によし」となる。それが自分の仕事の目指すところであり、こだわりでもあります。

若者へのメッセージ

今、士業(資格者)を目指す方は、様々な理由をお持ちだと思います。独立希望の方、専門性を身につけたいという方、私のように家業を助けるためという方、それから学生の延長で勉強する方、いろいろいらっしゃるでしょう。どれももちろん間違いではないですが、そういった若い世代の方に伝えたいことは、資格は自信となり、人生の中でその知識は必ず必要になるし、役にも立ちますが、決してゴールではないということです。
自分が仕事をするうえで、その資格を通して社会にどう貢献できるのかということを、ぜひ考えてほしいと思っています。自分が社会の一端を担っていると自覚することが、仕事をする上での意義となり、ひいては業界を良くしていくことにつながりますから。一資格の枠を超えて、さらに大きな枠組みで捉えた社会貢献をするということ。これから資格を取って活躍していこうという若い世代の方には、そういったマインドをぜひとも持ってもらいたいと思っています。

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