THE ROOTS

INTERVIEW

計画的な進化と予期しない化学反応

寶田陵

the range design INC.寶田陵

略歴

1971年東京都生まれ。日本大学理工学部海洋建築工学科卒業。(株)フジタ入社し、その後設計事務所や大手ゼネコンを経て、2016年に独立。ホテル、旅館、共同住宅、商業施設、オフィス等、幅広い分野で建築設計及びインテリアデザインを手掛ける。近年ではプロジェクトにおける企画プロデュースやデザインディレクション、家具や照明器具などのプロダクトデザインにも活動の幅を広げ、新しいライフスタイルを生み出す建築・空間づくりにチャレンジしている。

現在の仕事についた経緯は?

実家が建築金物の町工場を営んでいたので、毎日鉄の匂いの中で生活していました。小学生の頃から工場の手伝いをしていて、親父の描いた設計図を見ながら、鉄を切断したり曲げたり溶接したり塗装したりしていたので、何かをつくることが当たり前の環境であり、普段もダンボールを使って何かしら作っていました。そんな環境だったので中学生の時には建築系の大学に進学することを決めていました。大学で建築設計製図に初めて出会い、親父が描いていたゼロから図面をつくることの難しさを思い知るのですが、一方でゼロから発想する楽しさもそこで覚えました。

大学時代は設計製図の課題とパン屋のアルバイトに明け暮れていたのですが、ある時毎日売れ残るパンを見て、これはどうすれば売れるのか?ということを勝手に考えてみました。そこで製図のように改良図面を描いて自ら焼いて店頭に並べてみたら、あっという間に売れて、気付いたらお店のNO.1ヒット商品になっていました。その自分が改良したパンを見て驚いて、目の前で嬉しそうに食べるお客様を見た時、自分のアイデア次第で人にこんなに驚いて喜んでもらうことができるんだ、という感覚を初めて体感しました。

私の場合は、実家のものづくり環境とパン屋でのサービス体験が化学反応したのだと思います。だから『建築設計の中で独自のアイデアを使ったサービスをして、人に喜んでもらえる仕事をしていく』と決めたのです。

仕事へのこだわり

まず何かをする時に、これが仕事って考えたことがあまりないかもしれません。むしろライフワークというか、日々の生活においてこの瞬間や時間が仕事なのか遊びなのか、その境界線すらないと思います。それだけ自分の好きなことをやれていて、それに毎日没頭できているということなのかもしれませんが、それだけではないと思います。

よりよいサービスをする上で、日々の生活がヒントだらけなのです。何かを考えなければならない時に、その時その事だけを必死に考えても何もでてきません。常に何かを吸収し続けていたり考え続けていたりすることで、自分の引き出しにアイデアの原石が溜まっていくのです。その原石を必要な時に引き出しから出してその状況に応じた更なるアイデアを加えて変化させて、新しいアイデアとして世の中に提供していく。その結果、人に驚いて喜んでもらえるものを提供できて、それがほんの少しでも社会の役に立つことができているのだと信じています。

だから私は『毎日が仕事であり毎日が遊び感覚のシームレスな生き方』を続け、これからも新しいことをたくさん世の中に提案していきたいと思っています。

若者へのメッセージ

私は若者だけではなく、歳を重ねていたとしても、いつでも何でもできると思っています。私から皆さんに伝えられることはたった一つしかありません。秀でていることでも他人にダメと言われることでも何でも良いです。自分が他の人と何が違うのか、そこを早く見つけて欲しいと思います。それは皆が必ず一つは絶対に持っている個性です。そこに早く気づき、それを伸ばす環境に自らを放り込むこと。この個性こそ、後の『オンリーワン』を生み出す根本だと思います。

一人で優等生のように何でも出来るようにならなくていい。出来ないことは全くできなくてもいい。自分ができないことは他の秀でた人がそれを補い合う環境をつくれば良いのです。ただ、出来ることはズバ抜けてほしい。大事なのは自分が何かのオンリーワンになることです。そのオンリーワンが集まってチームや会社を作ったら、日本はもっともっと面白くなっていくと思っています。

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